相続問題解決・遺言書作成

相続手続きについての概要

この度はまことにご愁傷様でした。謹んでお悔やみ申し上げます。
市区町村に対する各種の届出や預金、保険、年金、各種の名義変えなど、数多くの手続が必要となりますので、落ち着く暇がないというところがおありになるのではないかと思います。

期限が設けられていない手続であれば、「少し落ち着いてから」ということでかまわないのですが、お亡くなりになられた方に関して必要となる手続の中には一定の期限が設けられている手続があり、期限までに手続を済ませる必要があります。

代表例としては、

  • 死亡届、火葬・埋葬許可申請(7日以内)
  • 世帯主変更届等の手続(14日以内)
  • 相続放棄・限定承認(3か月以内)
  • 所得税の申告と納付(4か月以内)
  • 相続税の申告・納税(10か月以内)

といったものが挙げられます。

それらの中の相続放棄・限定承認について簡単なご説明をさせていただきたいと思います。

相続が開始した場合、相続人は次の3つのうちのいずれかを選択することができます。

単純承認
相続人が被相続人(亡くなった方)の土地・家屋の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐもの。
相続放棄
相続人が被相続人(亡くなった方)の権利や義務を一切受け継がないもの。
限定承認
被相続人(亡くなった方)の債務がどの程度あるか不明であり、債務の額によっては財産が残る可能性がある場合等に、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人(亡くなった方)の債務の負担を受け継ぐもの。

それぞれの詳しい概要は次のとおりになります。

単純承認〜概要〜

相続が開始する前の段階で「財産があってもいらないし、将来相続があるとき私は放棄するから」と家族内で確認しておられる方もいらっしゃるかもしれません。

また、被相続人(亡くなった方)が生前大きな借金を抱えていたことが判明したときに「負債を抱えたくないから相続を放棄する」と考える方もいらっしゃるでしょう。

相続放棄は、被相続人(亡くなった方)の権利や義務を一切受け継がないというものです。しかし、単に「私は相続放棄をするから」というように意思表示するだけでは足りません。

相続が発生した、一定期間内に家庭裁判所で相続放棄の手続きを行ってはじめて相続放棄が成立することになります。

相続放棄は相続が始まった後に裁判所を利用して行う手続ということができます。

1.申述人

相続人

なお、相続人が未成年者または成年被後見人である場合は、その法定代理人が代理して申述することになります。

注意していただきたいポイント

2.申述期間

自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければなりません。

3.申述先

被相続人(亡くなった方)の最後の住所地の家庭裁判所

(例)住民票における最後の住所地が大阪市内である場合 大阪家庭裁判所
             〃          堺市内    〃    大阪家庭裁判所堺支部

4.申述に必要な費用

  • 申述人1人につき収入印紙800円
  • 連絡用の郵便切手代 (例)大阪家庭裁判所の場合 金

5.申述に必要な書類

  • 相続放棄の申述書1通
  • 申述人の戸籍謄本1通
  • 被相続人の除籍(戸籍)謄本、住民票の除票各1通

(注) 事案によって異なりますが、その他の資料の提出を求められることがあります

6.その他

相続人が、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続財産の状況を調査してもなお、相続を承認するか放棄するかを判断する資料が得られない場合には、申立てにより、家庭裁判所はその期間を伸ばすことができます。

注意していただきたいポイント

相続放棄の申述人について注意していただきたいポイントがあります。
未成年者とその法定代理人が相続人となるケースで、

  1. 未成年者のみが相続放棄の申述をするとき(法定代理人が先に相続放棄の申述している場合を除く。)
    又は、
  2. 複数の未成年者の法定代理人が一部の未成年者を代理して相続放棄の申述をするときは、当該未成年者について特別代理人の選任が必要となります。
    法定代理人の利益と未成年者の利益が相反するからです。

(例)

  1. ご夫婦、未成年のお子さん1名のご家族のご夫婦のいずれかがお亡くなりになり、お子さんのみが相続放棄の申述をするケース→お子さんについて必要
  2. ご夫婦、未成年のお子さん2名のご家族のご夫婦のいずれかがお亡くなりになり、お子さんのうち1名のみが相続放棄の申述をするケース
    →相続放棄の申述をするお子さんについて必要

特別代理人選任

1.申立人

  • 親権者
  • 利害関係人

2.申立先

  • 子の住所地の家庭裁判所
    (例) 子の住所地が大阪市内である場合  大阪家庭裁判所
             〃    堺市内  〃     大阪家庭裁判所堺支部

3.申立に必要な費用

  • 子1人につき収入印紙800円
  • その他、連絡用の郵便切手代を予め納める必要があります。

4.申立に必要な書類

  • 申立書1通
  • 申立人(親権者)、子の戸籍謄本各1通
  • 特別代理人候補者の戸籍謄本、住民票各1通

(注)事案によっては、その他の資料の提出を求められることがあります。

相続の限定承認の申述 〜概要・手続の進め方〜

明らかにマイナス財産が多い場合は、相続放棄を選択されるのが通常だと思いますが、プラス財産とマイナス財産のどちらが多いか判断できず、単純承認したのでは多額の負債を抱えてしまう可能性があるケースがあります。

そういった場合に利用されるのが限定承認です。

限定承認がなされた場合、相続した債務(借金等)については相続で得た財産から弁済する必要がありますが、清算してもなお負債が残る場合であっても、相続人が有する固有の財産で弁済する責任は負いません。(それまでにご自分で築いてこられた財産まで失うことはない。ととらえていただければよいと思います。)

逆に、清算した結果、財産に余り(プラス)があれば、相続人に帰属することになります。

1.申述人

相続人全員が共同して行う必要があります。

2.申述期間

自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければなりません。

3.申述先

被相続人(亡くなった方)の最後の住所地の家庭裁判所

(例)住民票における最後の住所地が大阪市内である場合 大阪家庭裁判所
             〃          堺市内    〃    大阪家庭裁判所堺支部

4.申述に必要な費用

  • 収入印紙800円
  • その他、連絡用の郵便切手代を予め納める必要があります。

5.申述に必要な書類

  • 相続の限定承認の申述書1通
  • 申述人の戸籍謄本1通
  • 被相続人の戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(出生から死亡までのすべての戸籍謄本)、住民票の除票各1通
  • 財産目録1通

(注)事案によっては、その他の資料の提出を求められることがあります。

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