
相続登記の手続き
〜不動産の名義変更等〜
相続登記(不動産所有者の名義の変更と思っていただいてかまいません。) には、いついつまでに登記をしなければならないといった期限はありません。
しかし、長い間相続登記をしないままにしていると、必要書類が取得できなくなる(戸籍の保存期間の関係です)ことがありますし、権利関係が複雑になる(相続人のお一人が亡くなるようなケースです)可能性もあります。相続人のみなさんが相続不動産を売却しようとしても相続登記がなされていなければスムーズに売却手続を進めることができませんので、出来るだけ早く相続登記(名義の変更)を行うことをおすすめします。
1.必要書類
被相続人(亡くなった方)に関する書類
- 戸籍、改製原戸籍、除籍等
- 相続人となる方を特定するために必要となる書類で、被相続人の出生から死亡までの記載があるものです。
最新の戸籍から順々に遡って取得していきます。
- 住民票の除票、又は戸籍の附票
- 戸籍には本籍地と氏名、生年月日の記載はあるものの、住所の記載がありません。本籍地は基本的にどこでも定めることができますので、戸籍の記載のみでは同姓同名の別の人物であることも否定できません。
除票又は附票によって住所と本籍地等が結びつき、被相続人を特定できることになります。
ただし、相続対象不動産の登記記録上の住所と最後の住所までつながりが分かることが必要です。
※ 他の書類が必要となるケースもあります。
相続人の方に関する書類
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人であること、そして、その相続人が生存していることを証するために必要です。
- 遺産分割協議書(権利を失う相続人の方全員の印鑑証明書付き)
- 民法で定められた相続分と異なる割合で相続をする場合に必要となります。
※権利を失う形になる方には遺産分割協議書に印鑑登録をした印鑑(実印)で押印していただく必要がありますので、実印と印鑑証明書をご用意ください。
- 不動産を取得される方の住民票又は戸籍の附票
- 虚無人名義、実在しない人物名義での登記がなされることを防止するために必要となります。民法で定められた相続分での相続、異なる割合での相続で違いはありません。
- 登記申請手続きを代理する件についての委任状
- 相続対象不動産の登記事項証明書(登記簿)
- 固定資産評価証明書(最新年度のもの)
- ※相続登記を申請するにあたり納付する登録免許税額を計算するために必要となります。
※ 他の書類が必要となるケースもあります。
2.必要書類の取得
- 戸籍、原戸籍等
- 本籍地の市区町村役場
※なお、被相続人(亡くなった方)が転籍しているケースでは、転籍前の本籍地に請求することになります。
- 住民票
- 住所地の市区町村役場
- 登記事項証明書
- 各地の法務局
- 固定資産評価証明書
- 不動産所在地の市区町村役場
- 印鑑登録証明書
- 市区町村役場
※ 専門家が職権で集めることができる書類もありますので、ご依頼いただく際にご相談いただければと思います。
専門家にお任せいただいたほうが、より早く、そしてより確実に必要書類を集めることができると思います。
3. 必要書類の取得にかかる費用(大阪市の場合)
- 戸籍謄本
- 1通 金450円
- 除籍謄本
- 1通 金750円
- 戸籍の附票の写し
- 1通 金200円
- 住民票の写し
- 1通 金200円
- 印鑑登録証明書
- 1通 金250円
- 固定資産評価証明書
- 不動産1個につき金250円
4.その他の費用
- 登録免許税
- 不動産評価額×0.4パーセント
※ なお、オンライン申請を利用している司法書士に依頼された場合、登録免許税は最大で金5,000円減額されます(平成23年3月31日受付分まで)。
〜抵当権、根抵当権と債務者の相続〜
抵当権
土地や建物に抵当権が設定しておられる方(債務者である場合が多い)が借入金を完済される前にお亡くなりになった場合、残債務について債権者(銀行等の金融機関)と話し合いを行い、その結果を登記に反映しなければなりませんので、債権者(銀行等の金融機関)への報告とあわせて私どもにご相談ください。
根抵当権
不動産に根抵当権を設定しておられる方(債務者である場合が多い)に相続が発生した場合、根抵当権を従前の性質のまま利用するためには相続開始後6か月以内に登記をしなければなりません。
債権者(銀行等の金融機関)との調整・内部手続にある程度の時間が必要となりますので、もし「根抵当権をそのまま利用したい」というお考えをお持ちの場合はお早めにご相談ください。