相続、遺言、遺産分割、借金問題の解決、会社設立等は、安心と信頼の行動力〜アクト法務事務所・アクト行政書士事務所にお任せ下さい
当事務所のホームページをご覧の方の中にも、現在賃貸住宅に住んでおられる方や、賃貸住宅のオーナーの方がおられることと存じます。
賃貸住宅におけるトラブルは、とりわけ、その様な方にとっては、日常生活に直結する問題であるだけに、できれば避けたいところです。
しかし、もし賃貸住宅におけるトラブルが発生してしまったら、どう対処すべきでしょうか?
ここでは、よく見られる賃貸住宅におけるトラブルをピックアップして、その対処方法について、Q&Aの形式で説明をさせて頂きます。
→→→ 実際の部屋が間取り図より狭い場合には、借家人は、法律上、「数量不足・一部滅失の場合の担保責任」により、賃貸人に対して契約解除や損害賠償を請求することができます(民法第565条)。従って、契約を開示することができます。
損害賠償請求の内容としては、敷金や、新たに借家を借りるための費用や、引っ越しの費用等の他、部屋に入れる予定の家具が、実際の部屋が間取り図上の面積より狭いために入れられなかったために別の家具に買い替えた費用等も含まれます。
但し、何となく狭い様に感じられるという程度では、この担保責任は請求できませんので、注意して下さい。間取り図よりも一部屋少ないとか、1m幅とされていた廊下が70cm幅しかなかったという様な場合であることが必要です。
→→→ 契約書に「申込書に虚偽の記載がある場合には、賃貸人は契約を解除することができる。」という条項がある場合には、解除することができます。
また、その様な条項がない場合でも、賃借人は事実を偽って利益を得ているので、賃貸人は、詐欺を理由として契約の取り消しを主張することができます。
しかし、詐欺で訴えるとすれば、賃借人が賃貸人を騙すために入居申込書に虚偽の記載をしたということを賃貸人が証明しなければなりません。また、上記の条項がある場合でも、裁判所は、実際に賃貸人と賃借人の間で明らかに信頼関係が損なわれると言える様な事実があったか否かを重視する傾向にありますので、たとえ入居申込書に勤務先の虚偽記載があったとしても、家賃が遅滞なく支払われている場合には、信頼関係が破綻したと言える状況ではないと判断されることが多いと言えます。
従って、現在の状況では、直ちに契約を解除することは難しいと考えられます。
→→→ おいが独立して世帯を形成する様な場合には、転貸にあたりますが、この場合は、おいは同居して一緒に生活することになりますので、独立の世帯を形成することにはなりませんから、転貸にはあたりません。
但し、大家さんの請求をかたくなに拒否すると、大家さんとの信頼関係を損ねることになりかねませんので、法律上の義務はありませんが、大家さんと今後も良好な関係を続けたいのであれば、ある程度の承諾料は支払うべきであると考えられます。
→→→ 民法では、賃貸人が修繕義務を負うとする規定があります(民法第606条第1項)。
従って、原則としては、大家さんの負担で蛇口を修理するように請求することができます。
但し、賃貸借契約によっては、賃借人に一定の修繕義務を課しているものもありますので、その場合には、賃借人の負担で修理することになります。
しかし、これらいずれの場合においても、蛇口が壊れた原因が、構造上の欠陥があるとか、蛇口の老朽化にあるとか、或いは賃借人の使い方が悪かったためであった等の事情によって、結論が変わる可能性があります。
→→→ まず、「その水漏れが、どこから、どの様な原因で発生したのか」を特定しなければなりません。これが特定できないと、誰にどの様な請求ができるか分からないからです。
天井からの水漏れであれば、(1)上の階での何らかのトラブルによる場合(洗濯機や風呂場からの水漏れ)と、(2)配管等のトラブルによる場合が考えられますので、以下各々について申し上げます。
まず、大家さんに立ち会ってもらい、上の階の住人に連絡を取り、事情を聞き取りした上で、大家さんと一緒に住居内を見せてもらうことから始めることになります。特に、水漏れが起きている箇所の真上にあたる箇所を中心に調べることになるでしょう。
そして、上の階の住人が水漏れの原因を作っていることが分かれば、原因が特定できたことになりますので、上の階の住人に対して損害賠償請求することになります。この例では、家財道具の弁償の他、何らかの水漏れの応急処置を依頼した場合にはその費用も併せて請求することになります。
ここで、上の階の住人が損害保険に加入していれば、損害保険を適用することになりますが、加入していない場合は、上の階の住人に直接請求するということになり、気が引けるかも知れません。できるだけ感情的にならずに損害額の根拠を示して請求すべきでしょう。
大家さん立ち会いの下で上の階の住人宅を調べたが、水漏れの原因となる様な心当たりがなかった場合には、マンションの配管等の腐食や劣化に原因がある可能性があります。
天井からの水漏れであれば、あなたの部屋の天井板上と上の階の床下の間を通っている配管が腐食している等の原因で水漏れが起きている可能性が高いと言えます。
その場合には、大家さんと上の階の住人の協力を得て、専門家に依頼して上の階の住戸の床下の配管の調査を行わなければなりませんが、もし上の階の住人が調査への協力を拒否したら、どうすればいいでしょうか?
この点、下の階からは上の階の床下を通る給排水管の点検ができない構造のマンションにおいては、上の階に居住する人には、階下で漏水事故が発生し、その原因の調査や漏水個所の修理のために必要が生じた場合には、共同の社会生活を営む隣人に対する義務として、自分が居住する部屋に工事関係者が立ち入って漏水原因の点検・調査・修理工事をすることについて、正当な事由のない限り受け入れる義務がある、と判示した裁判例があります。
そして、調査の結果、上の階の住人に水漏れの原因がないことが判明すれば、水漏れの修繕義務は大家さんが負担することになります。
従って、この場合は、大家さんに対して上記@で述べた内容の損害賠償を請求することになります。
ただ、大家さんも損害保険に加入しているのが一般的であると言えますので、最終的には保険会社からの支払いとなることが多いのではないかと考えられます。
→→→ 集合住宅は、居住者が自由に使用できる専有部分と、居住者全員が共同で利用する空間であって個人的に利用することができない共用部分に分けられます。
ベランダは、一見するとこのうちの専有部分にあたる様にも思われますが、地震や火災等の災害が発生した場合の避難の経路となっており、共用部分にあたるのです。実際にも、床に避難口が設置されていたり、隣室との壁板に「避難の際にここを破って下さい」と書かれていたりします。
従って、ベランダに物置があると、災害時に邪魔になって避難ができなくなり、生命の危険にさらされることになりかねませんので、撤去する必要があります。
→→→ 賃貸人が更新を拒絶するには、契約終了の1年前から6ヶ月前までの間に更新拒絶の通知をしなければならないとされています(借地借家法第26条第1項)。従って、この通知がなされていない場合は、直ちに退去する必要はありません。
また、更新拒絶の通知がなされた場合でも、更新拒絶には正当性が必要とされていますので(借地借家法第28条)、正当事由がない場合には、更新拒絶は認められません。
正当事由の有無については、そのマンションの利用の必要性、マンションの老朽化、立退き料の提示といった諸般の事情が考慮されることになります。
→→→ この問題は、振動や騒音が受忍限度を超えるか否かがポイントになります。
マンションでは、近所の部屋の生活音はある程度聞こえるものですから、ある程度の騒音や振動は我慢しなければならないでしょう。
しかし、どんな振動や騒音も我慢しなければならないわけではなく、受任限度を超える騒音や振動については、不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます(民法第709条)。
但し、この損害賠償請求の場合、受忍限度を超えることを立証しなければならず、またその立証はなかなか難しいので、現実的には、大家さんに実際に振動や騒音を体感してもらい、受忍限度を超えるものであると認めてもらえれば、大家さんを通じて真上の部屋の方に注意してもらうのが良いのではないかと思われます。
→→→ 賃貸人は、経済事情の変動等の事情により、自身が貸している部屋の家賃が近隣の同種の物件の家賃と比較して相当ではない時には、将来に向かって家賃を増額或いは減額することができます(借地借家法第32条第1項)。
賃貸人と賃借人との間で協議が調わない場合は、賃貸人が家賃の増額請求の調停を申し立てるか、同請求の訴訟を提起する可能性があります。賃借人としては、その場合、自身が相当だと思う家賃を支払い、賃貸人が受け取りを拒絶した場合には、法務局に供託することができます。従って、この様な形で賃借人が争うことはできます。
但し、その場合であっても、最終的に調停或いは判決において確定した額が供託していた額よりも高い場合は、その差額に年10%の利息を加算した額を支払わなければなりませんので、注意して下さい。
なお、契約条項に家賃を増額しないという特約がある場合には、増額することはできませんので、この場合には値上げに応じる必要はありません。
→→→ 差押えの通知を見て、大変驚かれたと思います。しかし、債権者が家賃を差し押さえたのは、大家さんが自分の債務を弁済しなかったことが原因なのですから、借家人に不利益が生じるわけではありません。
従って、差押えの通知が届いても、借家人が退去する必要はありません。
但し、家賃の差押えがなされると、家賃の支払先が変わります。これまでの大家さんにではなく、差押えをした債権者に支払うことになりますので、注意して下さい。
なお、差押えの事例ではありませんが、最近、賃貸マンションの管理会社を語って家賃の振込先を変更する虚偽の通知を送りつける詐欺行為がなされている様ですので、注意して下さい。
→→→ これは定期借家権の問題となります。
借地借家法第38条は、定期建物賃貸借について、
を要件として規定しています。
従って、これらの要件を充たしていれば、この様な賃貸をすることができます。
→→→ 賃貸マンションにおいても、分譲マンションにおいても、居住者は一種の共同生活をすることになりますから、相互に他の居住者の生活をおびやかす様なことは、あってはならないことであると言えます。
この様なペット問題ついての裁判例からすると、
という結論となります。
従って、この事例では、大家さんは、契約条項違反の隣室の住人に対し、賃貸借契約を解除することができると言えます。
→→→ 結論から申し上げますと、原則として即退去させることはできません。
大家さんというと、不動産を所有しているから裕福だろうというイメージを持たれるかも知れませんが、中には賃貸業以外の収入がない人も居られるので、一概にそういう人ばかりとは言えません。
ですから、大家さんとしては、賃料収入を確保するため、一刻も早く家賃を滞納している賃借人に退去してもらい、新しい賃借人に入居してもらう様にしたいというのが本音であるとも言えます。
しかしながら、賃貸借契約は、当事者間の継続的な信頼関係を基礎とする契約ですので、1ヶ月分の家賃の滞納があっただけで即刻この様な信頼関係が破綻するとは、客観的にも認められません。
通常、賃貸借契約書には、「賃料の支払いを3ヶ月分以上遅滞したときは、賃貸人は1週間の期間を空けて催告し、その間に賃借人が支払わないときは、賃貸借契約を解除することができる。」と定められていることが多いです。
これを3ヶ月も待てないということで、猶予期間を設けずに「賃料の支払を遅滞したときは即時に賃貸借契約を解除する。」としてしまうと、上記の様な賃貸借契約の性質からしても、裁判ではこの様な契約条項は無効であると判断される可能性が高いと言えます。また、裁判で、1ヶ月の支払の遅滞があっただけで賃貸借契約の解除が認められることは、まずないとも言えるでしょう。
では、家賃を3ヶ月滞納したからということで、大家さんが賃借人の家財道具を全部部屋から運び出して、強制的に追い出すことができるかというと、これも認められません。
法律上、自力救済は認められていませんので、大家さんと賃借人との合意がない限り、家賃の滞納があるからといって、大家さんが一方的に賃借人の家財道具を処分することは認められません。裁判で勝訴判決を得た後、強制執行をする必要があります。
そうすると、大家さんは、賃料滞納があっても賃借人に居座られて、なかなか明け渡してもらえない、ということになりかねません。賃料滞納を理由に契約解除するとしても、3ヶ月程度は待たなければなりませんし、訴訟を起こすとすれば、さらに時間と費用がかさむことになります。
そこで、大家さんとしては、裁判は最終手段として、なるべく任意に明け渡してもらう様に交渉すべきですが、その際、交渉を有利に進めるポイントとして、次の2つが考えられます。
余りにも部屋の使い方が悪く、不相当に部屋が損傷・汚損している場合や、ペットを飼うことが禁止されているにも拘わらずペットを飼っている場合等です。
この様な解除事由がある場合、信頼関係を著しく破綻させる行為に該当するとして、賃貸借契約を即時解除することが認められることがあります。
大家さんには、滞納賃料を免除する法的義務はありません。
しかし、交渉が決裂して、裁判までするとすれば、時間と費用がかかる上に、裁判が終了するまで新たな賃借人を入居させることもできず、その部屋の賃料収入が途絶えることになります。
そこで、ある程度の損害には目をつぶり(一部は敷金から充当することもできます)、明け渡しを優先させることを考えながら交渉するというのも良いのではないかと考えられます。
この他、現在は、契約締結時に保証人を定めているのが通常であると言えますので、保証人に連絡を取ることも一つの方法であると言えます。
→→→ 法律上の婚姻関係にある夫婦が借家に住んでいて、夫が死亡した場合には、妻は賃借権を相続しますので、問題はありません。
しかし、内縁関係の場合は、内縁の妻には相続権がありませんから、内縁の夫が死亡すれば、仮に内縁の夫と前妻との間に子がいた場合には、その子が賃借権を相続することになります。
ところが、内縁の妻は相続権がなく、居住権がないので、退去しなければならないとするのでは、あまりに酷な結論となります。
そのため、相続人である子がどうしても賃借権を相続により承継したいという特別な事情がない限り、内縁の妻は大家さんに対して引き続きその借家に居住する権利を主張することができるとされています。
従って、その様な特別の事情がない限り、退去する必要はありません。
→→→ この様な特約は「敷引」と言われているシステムで、関西方面で始まったものです。
例えば、契約上、保証金50万円、敷引40万円とされていた場合、この40万円は使用状況と無関係に差し引かれ、原状回復のための補修費等が残金10万円から差し引かれることになるので、最終的に賃借人に返還される額は数万円あれば良い方であると言えるでしょう。
しかし、敷引特約がない場合は、特にひどい損傷がなければ、ほぼ全額が返還されることとなります。
そのため、この様な敷引特約は、消費者の利益を一方的に害する契約条項は無効であると規定する消費者契約法第10条に違反するものであり、無効ではないか、ということが問題となり、最近、この点に関する下級審判決が相次いで下されています。
下級審判決は、敷引特約は消費者契約法第10条に反するとして、無効とするものが多数ですが、平成21年6月19日には、大阪高等裁判所にて、有効とする判決が言い渡されました。
この大阪高裁判決は、退去時に通常損耗・自然損耗の原状回復費用を保証金から控除する特約について、経過年数に応じた控除額や損耗・既存の部位別一覧表が提示されており、賃借人は特約の内容をよく理解した上で合意していた、として、有効であると判断したものです。
しかし、その後、平成21年7月23日には、京都地方裁判所において、敷引特約は消費者契約法第10条に反し無効であるとする判決が言い渡されています。
この京都地裁判決は、(事案での)敷引金が保証金の約85パーセントに相当する高額のもので賃借人にとって大きな負担となることや、通常損耗にかかる投下資本の原価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料に含ませて支払を受けることによって行われており、通常損耗の回復費用としての自然損耗料やリフォーム費用を敷引金という形で賃借人に負担させることには合理的理由がない、といった理由から、敷引特約を消費者契約法第10条に反し無効であるとしたものです。
この様に、敷引特約についての最高裁判所の判例は、まだ確立されていませんので、今後の裁判例の推移を注視することとなります。
当事務所では、敷金返還請求や未払賃料請求の他、ここでピックアップさせて頂きましたトラブルについての損害賠償請求について、請求額が140万円以下の場合には簡易裁判所への訴状等の書類の作成・提出及び御本人に代わっての法廷への出廷、また140万円以上の場合には訴状等の書類の作成・提出及び御本人の法廷への出廷の付き添い、という形で、皆様のサポートをさせて頂きます。
また、示談交渉の際には、示談所の作成のアドバイスという形でサポートをさせて頂きます。